PHIMEANAKAS

日記の帯。わたくしが描いたの。Phimeanakasって,アンコール遺跡の一つです。天上の宮殿と謂う。


2003年2月2日

29日の暴動は、殆どがその夜のうちに沈静化、30日朝にはほとんど騒動は治まっていました。 ただ、学校や銀行は閉まってしまったし、商店も用心して閉店していたところが多い。 タイ大使館あたりは野次馬(!)が山ほど来て渋滞してたらしいし、襲われたホテルや工場の焼け跡からまだ何か盗み出そうとしていた火事場泥棒も結構たくさんいたようです。

さて、当然のことながら、外国人仲間の間でもあーだーこーだーと色々な話が飛び交いました。

今回の騒動の本当の理由

仮説1: フンセン首相および与党CPPが、7月の総選挙前に目障りな政治活動家を排除しようとした。

 反タイ感情をあおってちょっと激しい抗議活動をするように誘導し、野党指導者や、反CPP的政治活動家、学生活動家に責めを負わせて逮捕しちまおう!って計画だったっていうんですね。 納得できる点としては

・フンセン首相が女優をひどく批判するコメントをして、反タイ感情をいっそう煽った。
・タイ大使館が非常に危険になった午後6時に、タイの首相から直接電話があったのにもかかわらず、対応が異常に遅れた。
・事件後逮捕された人間のなかに、反CPP的ラジオ局のオーナーや、新聞関係の人間がいる。
・略奪行為を働く暴徒、の割りに、冷静にタイ系企業だけがきっちり狙われた。 誰かが指導した? ジュリアナホテルなんか、タイ系だなんて知りませんでしたよ、私。 おまけに与党と裏のつながりがあるといわれる暗黒的大物タイ人が所有する有名ホテルは指一本触れられず。 不思議よねー。

ただし、
・想像以上に暴動がエスカレートしてしまった?
・これだけひどい暴動後の国際的評価を考慮しなかったのか?
・政敵は何人か拘束できたかもしれないが、カンボジア現政権のこうむるダメージは極大。

なので、そんなことも考えないくらい、お馬鹿な計画をマジにたてちゃったの? という疑問は残ります。

仮説2: CPP内の権力争い。 つまりは、フンセン蹴落とし計画

 7月の総選挙にむけての演説やらで、首相は「あと10年は首相を続ける」的コメントを何度かしております。 大体が民主主義が建前の国なんだから、そんなこと断言するなよ!と思うのですが、まあそれはさておき、そんなことが実現した日にゃ、野党が面白くないのは当然として、与党内部の人間だって面白くはないのでは?

CPP内部でも着実に力をつけている人間は何人かいるようで、(有名なのはC・S氏ですかな)そんな人間があと10年もフンセンの影にかくれて雌伏するつもりがあるのかどうか。 問題をおこして、フンセンが進退きわまるように追い込もうとした、という説です。 そうなると確かに

・リップサービス的にいい加減な発言をすることが多い首相に、誰かがタイ女優の悪口をいうことを薦めた
(日本の援助で作った橋の完成式典で、日本大使の前で「でも橋の名前なんかどうでもいいんだけど」とか、クメール語で言ったそうですよ、首相は。 分かんないと思ったんだろうけど、話はもれてしまっているのだ! もうちょっと慎重になれよ)
・誰かが警察や軍の動きをわざと遅らせた
・騒ぎがひどくなって首相が追い込まれたら万々歳

でかなり説得力がある説ですが、やっぱり

・暴動がこれだけエスカレートすると予想していたのか?
・カンボジア国の受けるダメージは無視しても、権力抗争が優先したのか?

なんつー疑問は残ります。 

仮説3: 反政府勢力の計画(現政府の言い訳)

真実味がないので、まともに取ってる外国人はほとんど居ないはず。 反政府勢力がやることなら、警察でも軍でもさっさと動いたはずです。 2000年11月のゲリラ活動だって、あっという間に終わっちゃったじゃないか。 すぐ銃撃戦になったし。

まあ、真相は迷宮入りになるのかもしれません。 タイ政府は断固としてなっとくいく理由を出せ!と請求してますけど、どうなることやら。 カンボジア国内では、与野党が「お前のせいだ!」「いーやお前のせいだ!」って指差しあってるだけの状態ですし。 子供の悪戯の犯人追及じゃねえっての。 カンボジア側からの正式謝罪は火曜日あたりにされるようです。 あとは補償だけど、いったい何十億、もしかして何百億円の損害になることやら。 そんなお金の余裕はないだろう。 どうするんだ。 まさか自分達の秘密口座から自腹切って払うなんて思えないし。

いまのところ、タイとの国交は代理大使レベルで細々と続いています。
カンボジア人のタイ入国は拒否。
陸路のタイ・カンボジア国境は全て封鎖。
タイからの資本投下・援助も全て凍結。
タイ国際空港の運行休止(バンコックエアーは今日から再開)

大使館焼打ちの話がバンコクに伝わった時、当然あちらでも反カンボジアデモなんかが行われましたが、カンボジアでのように過激にもならず、すぐ収まりました。 タイ国王の鶴の一声! 「タイ国民はいまや国際社会での英雄なのだから、ならず者達と同じようなことをしてはいけない」

これ、カンボジアメディアが報道したんでしょうかね。 またそうなると、反タイ感情が高まりそうな。 ならず者呼ばわりされちゃって。(Banditsと英語には訳されていました。 強盗とか、山賊って感じ? 野蛮人、って書いてあった横断幕も新聞の写真で見たけど)

なんにしろ、これからカンボジアが払うべき代価はとてつもなく大きなものになるでしょう。

ASEAN サミットで「カンボジアはもう平和」
ASEAN 観光フォーラムでも「この地域は世界で一番平和」
なんて断言しておいて、これかよ。 いくら暴徒だからって、非武装の千人や二千人、軍が本気を出せばどうってことはないだろーに。天安門事件を繰り返せとは言いませんが、戦車とライフル持ち出せばすぐじゃないか。 

タイとの関係悪化もさることながら、国際社会での信用がた落ち。 中国もアメリカも、カンボジアに早期解決を求めたとか(というより、あんたが一方的に悪い!と説教があったようです。 当たり前だわね)。

それとね。

今日タイ紙のThe Nationに載ってる話ってんで知ったんですが(英文ですがよろしかったら読んでみて)

もうあと一歩で戦争やるつもりのタイ、だったんですってぇ。

ひーっ。 知らなかった知らなかった知らなかったざます。 戦争始まってたら、こんなHP更新してるどこじゃなく、緊急避難で着の身着のままバンコクかシンガポールあたりをさまよっているところでありましょう。 冗談じゃないっす。

木曜日の朝から始まったタイ人の緊急避難の為にカンボジアに送られた軍用機。 あれがもし襲われていたら、即開戦!の用意があったタイ政府だったんですって。 軍用機には重装備の軍人が20人ばかり乗ってたとか、国境沿いに特殊部隊が展開してたとか、海の方にも戦艦が出動してたとか。 ぎゃー。

実際空港周辺でガソリン買って「飛行機襲ってやろ!」としてた人間はいたようですよ。 事前に逮捕されたそうですが。 

馬鹿もいい加減にして。 こんな理由で戦争が起こって、死んじゃったらまったくもって浮かばれないわ!

うーむ。 イラク攻撃があるのお? なんて他人事みたいにTV見てる場合じゃありませんでした。

まったくもって、一寸先は闇ですなあ。 まさか、自分が住んでるところが戦地になるところだったとは。 

こういう戦争の始まり方ってあまりないような。 ずいぶん前のイラクのクウェート侵攻並みに、寝耳に水。

お願いだから、もうこれ以上お馬鹿なことは繰り返さないでね!と願うばかりであります。 

3月には一時帰国しますが、日本は大丈夫でしょおねえ。 帰ったとたんにテポドンなんか飛んできたら、もお笑えない。






ぺシャワール会ものぞいてみてください。アフガニスタン難民を助けています。月に2000円で、お腹が一杯になるんです。

カンボジアにいる私がなぜペシャワール会? カンボジア関連のNGOは? と思う方がいらっしゃるかもしれませんが。 個人的には、もうカンボジア向けのODAなんか止めてまえ! と思ってるので。 援助慣れしすぎ、カンボジア。 日本の税金が何億円と流れ込んで、確かに多少道路がよくなったりはしてるんでしょうが、その大部分が高級車や大邸宅やダイヤに化けてるような気がする。 援助するってお金を渡すのはいいんですが、もっときっちり監査なり条件なりつけないと駄目じゃないですか?・・・って監査なんかしてると、スキャンダルが出るからやりたくないのか、日本も。 ODAって、もらう方は当然ながら、出す方も大きな利権が産まれるのよねえ。 勝手に私腹をこやすなよ、人の血税で(って怒るほど出してないか、税金? いや、しかし、少しは出してるんだ。やっぱり怒るぞ)。 川口外相、がんばれ

とはいえ、アフガニスタンでも状況は似たり寄ったりかもしれせんね。 お金が流れ込むところに、いつも亡者は群がるのでございます。 灰皿と金持ちはたまるほど、キタナイとやら。 確かにしっかりしてないと、お金なんか貯まらないでしょうが。
  

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